2015年12月4日金曜日

寂しかりけり、と、さびしきろかも

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■ 斎藤茂吉と会津八一はほぼ同時代の人だ。
■ 表紙を見れば分かる。
■ なるほど、・・・
■ 今日、斎藤茂吉の歌を読んでいて、次の歌があることに気付いた。
  1. 高山の峡の川原は此処よりも高きにありてさびしきろかも
  2. 山なかに吹く風寒し遠くより来たりて去ぬるはさびしきろかも
  3. 星空の中より降らむみちのくの時雨の雨は寂しきろかも
■ このように、
  • さびしきろかも
■ この言葉を使っている。
■ 会津八一は、・・・
  • みほとけ の あご と ひぢ とに あまでら の
  • あさ の ひかり の ともしきろ かも
■ この歌の注に、・・・
  • ともしきろかも かそけくなつかしきかな、といふほどの意。
  • 「ろ」は意味無き助詞。
  • 「万葉集」には「悲しきろかも」「尊きろかも」「乏しきろかも」などあり。
■ さて、斎藤茂吉は「寂しかりけり」という言葉も何度も使っている。
  1. さびしかりけり・・・自分が寂しい。
  2. さびしきろかも・・・寂しく見える。
■ このような意味だが、・・・
■ 茂吉の歌の「2」は、必ずしも2の意味ではなく、1のようにもとれる。
■ 八一は「ろ」には意味がないとしている。
■ これについては以前書いた。
■ 私は、次の歌を作っていて、・・・
■ 茂吉の歌にこんなのがあるとは知らなかった。
■ あれれ、という感じだった。
  • せんねんの ながきつきひや はるのゆき 
  • じゅうだいでしの さみしきろかも
■ ということで、これらは、次のようになる。
  • かなしき ろかも  KANASIKI + IRO KAMO
  • とおとき ろかも   TOOTOKI + IRO KAMO
  • とぼしき ろかも  TOBOSIKI + IRO KAMO
  • ともしき ろかも  TOMOSIKI + IRO KAMO
  • さびしき ろかも   SABISIKI + IRO KAMO
 ■ 「IRO」の「I」は、省略された。
  • KI+IRO → KIRO
■ 例えば、広辞苑・第二版には、「いろ」は、色彩の色ばかりでなく、・・・
  • ものの趣、つや、興味、趣味、調子、・・・
  • きざし、様子。「成功の色が濃い」
■ このような記述がある。
■ 「顔色を窺う」、というような用法も、「様子」という感じだ。
■ 客観的に見た感じをさしている。
■ 八一のいうように、意味がないわけではない。
■ 言葉とは、どんな言葉でも、元々意味があったはずなのだ。
■ それが、時代と共に変化したり、使われなくなり、忘れられたりもする。
■ ここにあげる例は、・・・
■ 英語の、
■ と逆ではあるが、よく似ている。
■ 前後の言葉と作用し合うのだ。