おいおきろ

●「うろこ」第十五号、16句

おいおきろ れっしゃのまどに ゆきげしき
ひんやりと ひたいにははの あたたかさ
てのひらに みつぶ ひとりの かぜぐすり
ゆきのよも うたはこころを つなぐから
ああそうだ いつかまよって じんちょうげ

はるのひは のんべんだらりと すぎゆくか
しんりょくや こんなちかくに あおいとり
こうえんの すざいはこびの ことりたち
ここちよい かぜのきせつと なりにけり
ケリとんで さなえにかぜの わたりゆく

たにこえて こっちにきたか ホトトギス
あれよあれ あれじゃわからん なつのかぜ
ひさしぶり であったひとと アオバズク
あのひとの おもいでとおき アオバズク
こうすいの ほのかにきせつ うつるかな

風鈴は外せ 風は涼しく 吹いている